金沢ふるさと偉人館
①始まりにしてトリ 中西悟堂企画展紹介
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①始まりにしてトリ 中西悟堂企画展紹介

金沢ふるさと偉人館

長らくサボ…昨日から始まった企画展準備に忙殺されて約1ヶ月ぶりの更新となりました。

今回も企画展時期に併せて、
『企画展をより楽しむための偉人講座』
を雑報で更新していきたいと思います。

始まる前から宣伝しとけっていう正論はスルーして、まずは企画展の主役を紹介します。

今回の主役は、「日本野鳥の会」の創設者でお馴染み

中西悟堂(1895-1984)

白山の国立公園への昇格や『鳥獣保護法』(昭和38年)などの法律制定のために奔走するなど、野鳥の愛護と自然環境の保全に生涯尽力した人物です。今回の企画展は悟堂と野鳥図鑑がテーマとなっています。

中西悟堂 まぼろしの野鳥図鑑

「野鳥の父」中西悟堂が生前刊行を目指すも、戦後の混乱の中で執筆を断念した幻の野鳥図鑑がありました。挿絵として使われる予定だった彩色原画は悟堂によって大切に保管されてきました。
今回ご遺族のご協力のもと、永らく秘蔵されてきた野鳥原画200点以上を金沢ふるさと偉人館で初公開することとなりました。
美麗なタッチで描かれた鳥画とともに、悟堂が思い描いた野鳥図鑑の世界を数十年の時を超えて展示空間に再構築します。

イラスト:上出慎也

チラシのデザインをみた時、筆者は第一印象「ハリー〇ッター!」だったのですが、賛同者は少ない模様。

それはさておき、悟堂の後ろでフクロウを頭に乗せている人物―
この人物こそ、今回の企画展のもう一人の主役である
小林重三(こばやし しげかず)です。

福岡県小倉市生まれの画家で、日本の鳥の三大図鑑といわれるすべての挿絵を担当するなど鳥類画家、また幅広く博物画家として名を馳せた人物です。
詳しい経歴は次回以降に譲りますが、今回のテーマである「まぼろしの野鳥図鑑」の挿絵は悟堂が小林に依頼したものです。

悟堂は小林の鳥画について

もともと水彩画家として出発し、絵画の筆法、描法も十分身につけていた専門画家でもあった強味から、いったん⿃の形体・色彩に詳しくなってからの鳥画は、美術の素養とてない標本画のそれと異り、確実精練ながらにおのずから生気を秘めた名品となり、名実共にわが国の第一人者としての本格の鳥類画家であった。

中西悟堂(1977)「故小林重三画伯遺作展」『野鳥』第42巻第8号,p48

とべた褒め。
悟堂が後生大切に保管していた理由もよく伝わります。

実際、B7大という小さな紙に描かれた原画を間近でみると、鉛筆と水彩でよくぞここまで詳細に…と思わず唸る書き込み具合で、絵の中から今にも飛び立ちそうな生命力を感じさせます。

文字だけでは絵の魅力が伝わらないと思いますので、
個人的にお気に入りの鳥画をご紹介。

トラフズク(小林重三・1950年代末か 個人蔵)

表情がこう、なんとも味があるといいますか

………。

展示資料

戦前に悟堂が作成した『野鳥ガイド 陸鳥篇』や原画、未刊に終わった『水禽篇』ゲラ、まぼろしの野鳥図鑑の挿絵など140点以上の作品を展示しています(撮影禁止)。

この中で初公開資料は、『陸鳥篇』挿絵、『水禽篇』ゲラ、まぼろしの野鳥図鑑挿絵―つまり、ほとんどが本邦初公開となっています。

『野鳥ガイド 上巻・陸鳥篇』挿絵原画(画・平岩康熙)個人蔵
『野鳥ガイド 下巻・水禽篇』挿絵校正刷り(画・下村兼史)個人蔵

ちなみに、作品総数は300点以上ありますが、資料保護のため期間中適宜交換していく予定です。
…なので、全制覇されたい方は何度も足をお運びいただければ(宣伝)。
(交換箇所はTwitterにて、交換後適宜お知らせします)

最終コーナーには、「まぼろしの野鳥図鑑 復元プロジェクト」と題して、悟堂の構想や当時の出版社の記録から、野鳥図鑑のイメージ図を展示しています(ここは撮影可能)。

今回は企画展概要紹介くらいにして、次回からは
・悟堂と野鳥図鑑 ―『野鳥ガイド』
・華麗なる鳥類学者たち
・稀代の鳥類画家 小林重三とは
などについて、更新していきたいと思います。

開催期間は8月28日(日)までと長いですが、途中途中に展示替えがある上、いつまた閉館になるやもしれません。
「そのうち行こう」ではなく「そうだ偉人館、行こう。」の精神でお越しください。

なお、本企画展の開催にあたり、悟堂長女・小谷ハルノ氏が代表を務める『原色野鳥ガイド』研究会の皆様に資料提供ほか多岐にわたりご協力頂いています。
雑誌『野鳥』5・6月号では、企画展の宣伝も兼ねて研究会さんによる「まぼろしの野鳥図鑑」特集が組まれる予定です。
そちらも是非お楽しみに!


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金沢ふるさと偉人館は、金沢ゆかりの「近代日本を支えた偉人たち」を展示する博物館です。               【旧偉人館雑報】 https://www.kanazawa-museum.jp/ijin/blog/index.html