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館蔵品展【後期】の見どころ紹介

いよいよお盆に突入しました!
館蔵品展も今月25日(日)で終了となります。
お盆を利用して金沢に来たというそこのアナタ!
いま偉人館に来れば期間限定でこんなものが見られますよ!

さて、前期展では明治・大正時代に活躍した偉人のコレクションを公開しましたが、後期展は「昭和編」!
主に戦中戦後に活躍した偉人達の資料を展示しています。
前期展では常設で展示していない人物たちの資料を中心に展示しましたが、後期展は常設展の偉人たちの資料を中心に展示しています。
今回はその中の幾つかをピックアップして紹介していきます!

細野燕台セレクションー用の美ー

細野燕台制作の食器・盆

書も料理も茶も美術も骨董も一流の目利きで知られ、首相を始めとした政財界の重鎮とも親交を持った細野燕台。
「金沢最後の文人」と称される彼が重要視したのが「用の美」でした。
「日常生活の中に溶け込んでいるものにこそ生きた美しさがある」
というものづくりの精神を大切にし、来客をもてなす際も自作の食器を用いて食に彩を持たせました。

そんな燕台に美食と陶芸の薫陶を授けられたのが、若き日の北大路魯山人でした。
知人からの紹介で燕台のもとにやってきた魯山人―当時は福田大観と名乗っていました―をみて「こいつは面白い」と思い、山代温泉の知人に紹介します。
山代温泉で九谷焼の絵付けに挑戦した大観はその面白さに没入していき、やがて昭和を代表する陶芸家・美食家となっていきます。
様々な目利きで知られた燕台でしたが、才能を見出す目も確かだったといえます。

いずれも燕台晩年の作ですが、右の皿は、魯山人が敬愛した陶芸家・須田菁華の窯元で焼かれたものです。

中西悟堂セレクションー鳥の絵と自作スケッチー

高間惣七 作

中西悟堂が主宰した日本野鳥の会には、鳥類学者のみならず数多くの文化人・愛好家たちが集まりました。
常設展示では川端康成や平塚らいてうなど著名な作家の原稿・手紙、川合玉堂ら画家の作品などを展示していますが、これらは悟堂が交流した人脈のほんの一部に過ぎません。
今回はその中から、特に絵画をピックアップして紹介しています。
上記写真の高間惣七(1889-1974)は雑誌『野鳥』の表紙絵も務めた画家で、鳥をテーマにした作品を多数残しています。
本作も高間が自宅で飼育していた鳥をスケッチしたものかもしれません。

この他、悟堂本人が旅先の風景や庭の植物など様々なスケッチを展示しています。
文才が抜きんでていたことで知られる悟堂は鳥関係の他に詩集や歌集など多くの著書を発行しました。
実は絵画も相応に嗜み、数多くのスケッチが遺しています。
本当に多才でユニークな人物だった悟堂。常設展示ではうかがい知れない一面をお楽しみください。

大島鎌吉セレクションーロサンゼルス五輪ー

ロサンゼルスオリンピック(1932)ユニフォーム

今年はちょうどオリンピックの年!ということで、スポーツの偉人・大島鎌吉が初めて参加した大会・1932年ロサンゼルスオリンピックの日本選手団公式ユニフォームを展示しています。
本大会は大島にとって、アクシデント(バスガス爆発)もあって銅メダル(大やけどの状態で)という、歯痒い結果となってしまいました。
しかし、実際に参加したオリンピックが何故「平和の祭典」と呼ばれるのかを肌で感じ、以来大島はオリンピックの理想を護るために奮闘していきます。
生涯を通したオリンピックとの深いつながりの、最初のきっかけとなった大会でした。

この他、金沢の知人にお土産としてプレゼントしたロサンゼルスオリンピック記念ハンカチや、各種大会のメダル、大島も開催に尽力した第二回国民体育大会(通称石川国体)のポスターなど様々なスポーツ関係資料を展示しています。

蓮田修吾郎セレクションースケッチー

蓮田修吾郎のスケッチ

金属造型、環境造型といった新たな芸術分野を切り開いたフロンティア精神にあふれた芸術家・蓮田修吾郎。
金沢駅港口(西口)の巨大モニュメントを観たことがある人は多いのではないでしょうか。

そんな修吾郎も、少年時代は日本画家の道を志していました。
石川県立工業学校(現・県立工業高等学校)を経て東京美術学校(現・東京藝術大学)の日本画科への進学を目指しました
が、
「日本画じゃ食えんわいや!」と父親から猛反対に遭い、「学費出さんぞ」とまで言われた結果、やむなく工芸科に進みます。
最初は不本意な選択でしたが、当時工芸科理事だった高村豊周(高村光雲次男・光太郎の弟)に工芸や鋳金の魅力を熱弁され、工芸の道を進むことを決意しました。

遺品には、金属造型・環境造型以外にも風景画や植物のスケッチなど絵画が数多く遺されています。
進んだ道は変われど、絵が好きなことは生涯変わらなかったようです。
この他にも、スケッチに使用した画材道具一式や、メダルの原型(石膏)など芸術家らしい逸品を展示しています。

今回は4名―いずれも常設展示で顕彰している偉人―の、普段は非公開の資料をセレクションして紹介しました。
その他、鈴木大拙、桐生悠々らの資料も展示しています。

次回は後期展唯一の非常設展メンバーである日置謙について!